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 時々、知り合いやお客さんに「ヌオーヴァ・クチーナって何?」っていう質問を投げかけたりされます。
 みなさん、分かりますか?直訳するとイタリア語で「新しい料理」です。フランス語では「ヌーヴェル・キュイジーヌ」といいます。こちらの言葉の方を耳にされた方は多いと思います。

 イタリアのヌオーヴァはフランスのヌーヴェルに影響を受けています。すなわちヌーヴェル・キュイジーヌを理解していただければ、それが何かという事を知ることができます。

 それでは「ヌーヴェル・キュイジーヌ」とは?

 ヌーヴェル・キュイジーヌとは1970年代にフランスでおこった食のムーヴメント。フランスの有名な食と旅の月刊誌「ゴー・ミヨー」から始まったとされています。1973年10月のことです。アンリ・ゴー氏とクリスチャン・ミヨー氏の主宰するゴー・ミヨー誌は少しづつ現われてきたフランス料理の新しい変化を「ヌーヴェル・キュイジーヌ」と命名してその誕生を宣言しました。その動きを推進し多くの若くて有能なシェフを輩出する中心人物が、かの有名なポール・ボキューズ氏です。

 そして意外なことにこのヌーヴェル・キュイジーヌは日本の食文化に影響を受けているという事です。実際、調理法や味付け、盛り付けなど至る所に共通点を見つけることができます。



   さてここでそのヌーヴェル・キュイジーヌの10則というものをご紹介します。



 1・調理の時間を短縮、火の入れ加減を浅く。

 2・新鮮な”新しい”材料を探すこと。悪い素材をソースでごまかしてはならない。外国製品にも目を向けるように。

 3・メニューの料理数を減らすように。

 4・冷蔵には細心の注意を払うように。材料は生でも火が通っていても、いつまでも新鮮ではありえない。

 5・最新技術を取り入れよ。料理、保存、掃除の仕事を楽にせよ。

 6・肉も(たとえジビエでも)新鮮なものを出すように。多量の香料で古い肉の臭いを消すやり方はやめなければならない。

 7・重いホワイトソース、ブラウンソースを止めよう。贅肉の元凶だから。お腹に軽く気分爽快な明るいソースを用いるように。

 8・消化と栄養を無視しないこと。

 9・飾りすぎないこと。シンプルな美しさの追及。

10・発明せよ。まだまだ幾百万のクリエーションはこれからなのだ。古臭い取り合わせを止めよう。未知の香料を使おう。忘れ去られた材料を掘り起こせ。オリジナルを追及せよ。発明せよ。


 以上が、大まかなヌーヴェル・キュイジーヌの宣言です。 


 素晴らしいですね。現代にも十分参考にできます。この10則に基づいて、それまでの古い料理は淘汰されて、新しい料理が新たに確立されていきました。このムーヴメントはわずかですが伝統を重んじる国イタリアにも飛び火した、ということです。でもほとんどのイタリア人は知らないか、関心がなかった様です。

 さてこのイタリアでのムーヴメントの立役者がかのグアルティエロ・マルケージ氏です。詳しい説明はここでは割愛させていただきますが、アルトゥージ以降のイタリア料理界のなかで最重要人物であることは誰もが認めるところです。


 ここで少し疑問が生じます。なぜフランスとイタリアではムーブメントの大きさに開きがあったのか?この答えはその国のお国柄が出ていると思います。とにかくイタリアは伝統を大切にする気持ちがものすごく強い。だからやはりいまだに各地方には郷土料理が存在している理由でもあります。イタリアにはフランス料理店は1軒もないことからもその頑固さぶりが伺えます。
 
 対してフランスには伝統を重んじる気風がないのかというと、フランスもやはり伝統を大切にします。それはビストロ料理というもののなかで脈々と受け継がれています。じゃあ何が違うのかというと、フランスにはフランス料理の国家戦略というものがあったのです。

 
 その国家戦略とは何か?一言でいうならばフランス料理の輸出です。世界中に料理を輸出することにより、マーケットの拡大を目標としていました。だから世界中でフランス料理はたべれますよね?
世界で食べられるということは、必然的に食材が必要となってくる。フォワグラ、トリュフ、ワイン、挙げればきりがない程の優れた農産物が今も世界中に輸出され外貨を稼いでいます。国あげての事ですから法律なども厳しいわけです。対してイタリアにはこの料理における国家戦略がありませんでした。例えば日本にこの戦略があれば今と違った農業の形が見えてたのかもしれませんね。

 今でこそイタリアもフランスに見習い食材の輸出は世界中に行われていますが、やはり出遅れた感は否めません。それでもオリーヴオイルやワインなどは素晴らしい輸出品になっています。でも戦略的(意図的)にイタリア料理を輸出した様な感じは今でもありませんね。

 少し話がそれましたが、出遅れた感はなにも農産物や食材だけにいえることではなく料理にもいえます。世界中で食べられる(人気がある)必要があるために、洗練に洗練を重ねる必要のあったフランス料理と、そんな必要などまったく迫られずに自分たちのためだけに作り食べるイタリア料理では洗練さのうえで大きな違いを生み出したと思います。

 しかし近年、情報化社会やグローバル化の波はイタリアにも押し寄せています。少しづつ失われていく伝統や習慣、食生活、食材など。とても寂しいことです。そういう危機に対してスローフード運動が起こったのもイタリアでした。日本がとうの昔に失ったもの。そういうものがまだ残っているからこそイタリアという国に魅力を感じ、惹かれるのだと思います。

 先ほど出遅れたというお話をしましたが、近年ここ15年から20年くらい前から、イタリア料理の世界でも変革が見られてきました。厳密に言うと1970年代のマルケージの時代から細々ではありますがヌオーヴァ・クチーナは一部の高級星付きレストランで作り続けられていました。しかしここ最近は新しい料理に取り組む才能あふれる若手シェフがイタリアでも評価を高めています。アルタ・クチーナやクチーナ・クリエティーヴァ、クチーナ・インノヴァティーヴァなどと呼ばれていますが、基本はヌオーヴァ・クチーナかなと僕は思っています。

 今の新しいイタリア料理の旗手は、ミラノのクラッコのカルロ・クラッコシェフ、トリノのコンバル・ゼロのダヴィデ・スカビンシェフ、ミラノのジョイアのピエトロ・リーマンシェフ、モデナのオステリア・フランチェスカーナのマッシモ・ボットゥーラシェフ、などたくさんのシェフが生まれてきていますが、この傾向はもっと強くなるだろうと言われています。
 
 みなさんも気づかれている方も多いと思いますが、イタリア料理店に行くとクラッシックな内装で昔ながらのオーソドックスな料理が出てくるお店と、スタイリッシュで斬新な料理が出てくるお店と、今大まかに分けて2種類のタイプのお店があると思います。これからのイタリアンはこの2種類に大別されていくと思いますので、かたやトラディショナーレ(伝統)、かたやヌオーヴァ(新しい)と心の片隅にでも覚えておきさえすれば、チョイスするときにも参考になると思います。

 僕自身は、伝統的な料理も大好きだし、新しい料理も大好きです。伝統的なものはやはり食べるとホッとするし、なによりしみじみ美味しいです。かたやヌオーヴァは食べに行くというよりは遊びに行く感覚の方が上回っているように感じます。感性を高めたいときにはヌオーヴァに行きます。

 グラーツィアで作っている僕の料理は伝統的なイタリア料理を味覚の部分だけ軽く現代風にしている感じです。出来るだけ本質の部分は触りません。

 将来的にはクリエイティヴなヌオーヴァを作りたいのですが、自分自身伝統料理をものにできていない気がするからです。イタリア人がヌオーヴァを作れば、そんなに考えなくても立派にイタリアの一皿になるでしょう。しかし自分は東洋人なので伝統やルーツなどを深く勉強してからでないと、やみくもにテクニックだけで作ってもデタラメ料理が出来上がると思います。その辺の線引きというのは非常に難しいなと思っています。あと大切なことは食べ手であるお客様がそれを求めるのか?ということ。私たちの仕事はお客様あってのものなので、当然マーケティングをしなくてはなりません。お客様は何を欲されているのかという事を第一に考えないと、商売は成り立たないからです。若いときはなかなか気づかずに、美味しければ、すごければ成功すると勘違いしますが、商売そんなに単純ではありません。独りよがりにならずに、自分の作りたいより、お客様の食べたい料理を作ることも大切な事なのです。商業的にはそちらの方が大事ですね。

 
 今はとにかく深くイタリア料理を理解するためにイタリアの古原書を研究する日々です。まー偉そうに語ってしまいましたが、過去にはたくさんの間違いを犯してきましたし、今も絶対正しいとは考えていません。ただ昨日よりは今日、今日より明日の考えで日々レベルアップしてお客様に満足していただき、その上でイタリアという国、料理、文化などにすこしでも貢献できる人間になるのが僕の目標です。


 お客様もできれば2種類のイタリア料理をその日の気分で使い分けして満足していただきたいなと思います。また僕たち料理人も視野を広く持って、特にこれからの若い料理人は伝統的な料理も革新的な料理もどちらも作れなければいけないと思います。伝統を理解せずに、革新的な料理を表面だけ真似して作れば、必ずそれはイタリア料理にはならないだろうし、その逆で伝統的なものしか作らないというのは、将来のイタリア料理のために貢献していない気がするのです。

 最後にフランス料理界における素敵な言葉で締めくくりたいと思います。

 
            
             「常に革新し続けることが伝統を作る」


 

 

 今回はペーシャにあるオリーヴの苗木業者Vivai Pietro Pacini さんを見学した様子をご紹介いたしたいと思います。



 こちらはなんと1870年創業。かれこれ140年ほどの歴史を誇っています。

オリーヴの苗木は挿し木と接ぎ木の二通りのやり方で育てます。品種によって使い分けるそうです。


 まずは挿し木のやり方です。

 実をつけない枝を選びます。これは経験がないとなかなか難しいそう。



 まずは枝の選定。オリーヴは年によって実をつけたりつけなかったりと交互にサイクルがきます。



 今度はその枝をはさみで綺麗に形を整えていきます。この作業は繊細さが要求されるので女性が担当するそうです。





 最終的にはさみでこの様な形にします。

 さて今度はこれを温室に植えます。



 中は40度から45度くらい。(外気30℃の時)湿度は85%もあり、中に入るとサウナ状態でした。

 白いのは石灰質の石でこの中に小枝を植えます。



 ある程度まで成長したら温室から出してビート(泥炭)の中に移してあげます。土は検疫の関係で輸出できない国があるので使用しないそうです。ここでは基本的に温度管理はしませんが、外気プラス5℃くらいになるようにしておきます。週に2回ほどスプリンクラーで水をあげます。

 松の幹の皮をのせておくことによって雑草が生えてこないそうです。



 場所を移してさらに成長させている所も見てみます。





 広大な敷地の中でたくさんのオリーヴの苗木が大切に育てられていました。以上が挿し木の大まかな作り方です。

 続いて接ぎ木で育てている畑の方へ移動します。



 こちらでは接ぎ木という方法で苗を育てていました。



 約50種類ほどの品種を育てています。



 白く見える部分はロウです。この部分が継ぎ目の部分です。下と上の部分をつなげている訳ですが下の部分の品種はなんでもよいそうです。

 品種によって挿し木と接ぎ木を使い分けます。接ぎ木は最初は手間と注意がかかりますが、それ以降の手間は挿し木と変わらないそうです。

 オリーヴの木は大人の木と言われるまでは10年ほどかかるそうです。100年以上持つ木は沢山あるそうです。中には1000年以上のものも!!長命ですね〜。

 
 さて以上、苗木業者さんでの見学の様子でした。

 
 今回は前回に続きましてオリーヴとオリーヴオイルについての第2回目です。

 

 さて前回に引き続き歴史の話です。参考までに、 ローマ文明におけるオリーヴオイルの分類を見ていきましょう。既にローマ時代にはオイルの階級なるものが存在していました。





              CATEGORIE DELL'OLIO DEI ROMANI  


 ローマ時代にはオイルは5段階に階級分けされていました。

 1. OLEUM EX ALBIS ULVIS

   まだ色づきのないグリーンのオリーヴの実から作られたオリーヴオイル。非常に貴重なオイル。

  2.VIRIDE

   色づきが始まったオリーヴから作られたオリーヴオイル。

  3.MATURUM

   熟したオリーヴの実から作られたオイル。

  4.CADUCUM

   地面に落ちたオリーヴの実を使ったオリーヴオイル。

  5.CIBARIUM

   既に痛み始めたオリーヴの実を使って作られたオリーヴオイル。主に奴隷たち用につかわれていた。

 以上の5段階です。
 
 すでにこのようにこと細かく階級分けされて使われていたのには驚きました。





 次回はオリーヴの苗木業者さんに見学に行ってきた時のお話です。



  

  今回はカンパーニャ州のクリスマス菓子、ストゥルッフォリをご紹介いたします。




 ギリシャ語の「ストゥルゴロス」(丸いもの)から派生した言葉だそうです。歴史的にギリシャの影響を受けた伝統的なドルチェです。特にナポリを中心とした南イタリアでクリスマスを祝って作られます。

 ストゥルッフォリはまだナポリがパルテノぺと呼ばれていた古代ギリシャの植民地時代に伝わった非常に歴史のあるデザートです。

 今回、お客様にリクエストされたので、クリスマスではないのですが特別に作りました。




                Struffoli alla napoletana


 このデザート、よくひよこ豆に蜂蜜をかけたものと思われるのですが、実は1個1個生地を手のひらで豆型に形どって作った非常に手間のかかったものなんです。ちょっとニョッキ作りに似てるかな。



 上の写真の様に生地を1個1個丸めます。生地は薄力粉、グラニュー、塩、ラード、レモンとオレンジの皮のすりおろしなどです。これを揚げ油でこんがりキツネ色になるまで揚げます。あとはその揚げたものを蜂蜜と絡めて型に入れて冷やし固めます。冷めたら型から取り出してトッピングして出来上がり。意外とオレンジやレモンのピールが効いていて食べると爽やかな感じです。

 今回は輪っか型に作りましたが、イタリアではたくさんの色々な形をつくります。ピラミッド型とか、楕円形、あとはカップにいれられていたり。最後のカラフルなトッピングは必ず施します。




 同じ作り方でウンブリア州やカラブリア州でチチェルキアータ、シチリア州ではピニュッカータと呼ばれて作られています。

 この1粒1粒は家族や親戚を表現しており、それが固まることによって絆や結束、団結を表しているんだそうです。イタリアらしいエピソードですね。

 
 予約の2〜3日前におっしゃっていただけたらお作りできますので、興味をもたれたらお気軽にどうぞ!


 

 今回は現在のコースのつきだしでお出ししているパッパ・コル・ポモドーロのご紹介です。



 トスカーナを代表するスープ料理で、現地では離乳食としても食べられている、やさしくてほっとするヘルシーな料理です。 

 お店でお出しするとかなりの確率で「これは何でできているのですか?」と尋ねられます。食感があまり感じたことのない感じからなのでしょう。答えはトマトとパンで出来ています。その他、材料はニンニクとオリーブオイル、バジリコのみです。それだけでこんなに滋味あふれる味わいができるなんて!!最初に作った時には感動しました。

 イタリアでは、昔はパンを手作りする家庭が多く、1か月や2か月に1回焼くのが普通でした。日にちが経つにしたがってパンが固くなってきますので、それをなんとか美味しくいただけないものだろうかという庶民の発想で生まれました。その他にもパンツァネッラというパンのサラダやトルタ・ディ・パーネといったデザートもあります。他の料理やお菓子に再利用することで、無駄なく使い切る知恵が生まれたんですね。

 実はトスカーナには2つの料理体系があります。メディチ家などの貴族の為の宮廷料理(クチーナ・アルタ)と農家や庶民の流れのクチーナ・ポーヴェラの流れです。この料理はまさにそんなクチーナ・ポーヴェラを代表する料理です。贅沢な料理が食べられなかった時代、貧しい階級の人々にとっては少ないパンでいかにおなかを満たすかが大事な問題だったなど、生きる工夫がパンの活用法を広げることになりました。

 実はこのスープ料理は以前は前菜の後にお出ししていたのですが、この夏フィレンツェのアルマンドに行ったときにつきだしで出てきました。その時すごく少量なのですが、あらためてその美味しさや滋味深さ、またスターターとしてのやさしさに感動して今回つきだしでお出ししています。
フィレンツェでは冷製として、つきだしで出すこともあるそうです。暖かい温製もすっごくおいしいんですよ〜。

 

 ↑ フィレンツェを代表するトラットリアのひとつ、トラットリア・アルマンド。かわいいお店です。



 ↑ パッパ・コル・ポモドーロ。





 ↑アルマンドの店内。劇場が近くにある関係とご主人が大のクラシックファンということもあって壁には音楽家の写真やサインがぎっしり!パヴァロッティ、小沢征自爾さんなどビックネームがズラリ。眺めているだけでも楽しめます。

 ついでにアルマンドで食べた料理をご紹介します。 



 ↑ 前菜がパンツァネッラ。パンと野菜のサラダです。うまっ!今までで一番おいしいパンツァネッラでした。酸味がとても心地よく食欲が湧きます。



 ↑ プリモがスパゲッティ・アッラ・カレッティエッラ。こちらアルマンドの名物。今ではカレッティエッラ自体がフィレンツェの名物みたいになっていますね。アッラ・カレッティエッラで御者風の意味。にんにくと唐辛子を効かせたパンチ力あるトマトソースのスパゲッティのこと。当店にはメニューには載せていませんがリクエストしていただければお作りいたします。日本人好みのお味。



 ↑ セコンドがトリッパ・アッラ・フィオレンティーナ。うまっ。トリッパの柔らかさといったら・・・。日本では歯ごたえがある状態が多いですが、イタリアではトロトロの柔らかさ。今度からトロトロに煮込もうかなー。



 ↑ デザートのパンナコッタのチョコレートソースがけ。



 ↑ デザートのティラミス


 以上でした。とても美味しくてすごくおすすめ。フィレンツェはイタリアの中でも塩気が強いので有名です。ですがここはとても塩気も控えめでやさしい味わい。後でイタリアの知り合いに聞いたのですがシェフが今、日本人女性だと聞きました。真意の程は分からないといっていたのですが・・・。それで味付けがやさしかったのかな〜?フィレンツェにお出かけの際は是非どうぞ。すごく有名店なのですぐに分かると思います。



  ↑ 友人の島田さんと。彼女もオリーヴオイルソムリエなのです。
   食事に付き合ってくれてありがとう。

 アルマンドのホームページはこちら



 
 
 今回からシリーズで、オリーヴオイルソムリエへの道と題しましてオリーヴとオリーヴオイルについてご紹介してまいりたいと思っています。実は先日イタリアで講習と試験を受けましてイタリアオリーヴオイルソムリエ協会のソムリエになることができました。

 もともとイタリア料理をしていますので、オリーヴオイルに興味を持ったり好きになるのはすごく当たり前のこと。12年前に自分のお店をオープンしてからは特にオイルにはこだわってきました。

 長年、手に入るオイルというオイルはすべて購入し試してきました。なぜそこまでやるのかといいますと、やはりイタリア料理において最重要な食材だということ。オイルひとつで料理が変わります。今回イタリアまで行って体験し感じたことは、目から鱗の連続でした。知らないこともたくさんありましたし、なにより専門の機関で学べたということ。これにより深いレベルでより知ることができました。明らかに行く前と行ったあとでは料理に対するオイル使い、またオイルに対する感覚などに良い意味で変化が見られてきたと思います。

 ただし、今は試験に受かっただけの話ですので、一番大事なのはここからだと思っています。資格を取るのは只の入り口で、ここからどれだけ経験を積み、いかに自分の仕事に結び付けみなさんのお役にたてるかが重要だと考えています。ここではオリーヴの知識やイタリアで習ってきたことの復習も兼ねてご紹介していきたいと思っています。



 今現在お店にあるオリーブオイルは18種類。イタリア全土、北から南まで揃っています。

 ちなみにイタリアにおける重要なオリーブの生産地はプーリア州、カラブリア州、シチリア州、トスカーナ州です。その中でプーリア州は食べるオリーブの生産も多く、オイルだけだとカラブリアが一番多いらしいです。しかし量に反比例して質はそんなに高くない。なぜかというとイタリア政府から作れば作るほどお金というか補助金みたいなものがだされていたので、質にこだわるヒマがなかったらしいのです。シチリアとトスカーナは日本に入ってきている商品が多いことからも分かるように品質にこだわった生産者さん達が多いのが特徴です。

 逆にほとんど作られていないのがピエモンテ州とヴァッレ・ダオスタ州です。やはり寒さに弱いということもありますし、ある程度乾燥した土地を好みます。2つの州は特に寒いですし、ピエモンテに関してはオリーブよりもワイン優先という事らしいです。北の方でも出来ないという事はなくて、リグーリア州やガルダ湖近郊などは特に優良な産地として名高いです。品種も寒さにある程度耐えうるものが用いられる為、味わい的には似てきます。北のオイルはやはり繊細で優しい味わいのものが特徴と言えます。



 たくさんのオリーブオイルがありますが、ワインと一緒ですべて味わいが異なります。

 何が味わいの違いを生み出すのかというと、まずは品種の違い。なんといってもこれが一番大きいでしょう。今現在、確認されている品種は世界で1250種!それぞれDNA構造も違うそうです。すごい数ですね〜。



 
 オイルを語る前にまずはオリーブについて。学名はOlea europea(オレア・エウロペア)。ヒイラギやジャスミンなどと同じモクセイ科の常緑樹です。

 歴史はとても古く起源は約6000年前、発祥の地はシリアといわれています。チグリス・ユーフラテス文明、エジプト文明、フェニキア文明、ギリシャ文明、エトルリア文明、ローマ文明と地中海地方を中心とした様々な文明の中で重要な役割をになってきました。



 ↑ 矢印の根元あたりがシリアです。大体矢印の様に地中海世界に広がっていきました。



 ↑ 明るい緑色の部分が栽培されている地域です。やはり地中海を中心とした温暖な場所が適している事が、この図からもよく分かると思います。

 またオリーブは非常に多くの神話や伝説、象徴に彩られています。それは地中海世界の偉大な古代文明の文化遺産における卓越した地位を見れば一目瞭然です。

 
 神話というとギリシア神話における「オリンポスの争い」が有名です。



 これは海の神ポセイドンと知性の神アテナがアッティケの領有権を巡って争い、競技によって決着をつけることとなりました。競技の内容は「人間にとって有益なものを生み出せ」というもの。全知全能の神ゼウスからのお題でした。ポセイドンは馬を、アテナはオリーブの樹を生み出しました。

 神々の合議の結果、勝者はアテナ。理由は馬は戦争の道具となるため、オリーブの樹はそこからたくさんの利益を人類に与えることが出来る為、という理由でアテナの勝ちとしました。ギリシア人は女神に感謝して、アテネのまちを築き、アテナとポセイドンを祀るエレクティオン神殿を建て、その庭にオリーブの樹を植えたのでした。
 
 以上が神話のお話です。その他、文学や宗教、また歴史的に有名な人物がオリーブについて語り残してくれています。ホメロスのオデュッセイア、イシス神、創世記、イスラムにおける預言者マホメットの象徴などなど。そのいずれにおいてもオリーブはPace(平和)、Fecondita(生誕)、Forza(力)、Purificazione(浄化)の象徴として登場していました。




 以上の様な歴史を理解していくと、食材なのですがそれよりも文化的な側面の方が強いことがお分かりいただけると思います。


 以上、今回はここまでです。

 オリーブの話をしたらキリがありませんので、シリーズで気長にご紹介させていただきます(笑)。これを読んでいただいた方がもっともっとオリーヴやオリーヴオイルに興味をもっていただき、また普段の生活に取り入れていただけたら幸いです。また、是非オリーヴオイルに興味のある方はお店に遊びにいらしてください。オリーヴオイルに対する情報や意見交換ができたらうれしいですね。



                                        それでは2へ つづく。
  
 

 

今回は現在のコースのデザートになっているズッパ・イングレーゼのご紹介です。



              Zuppa inglese


 直訳すると「イギリス風スープ」となります。もともとズッパとはゴート語の「スッパ」に由来する言葉で「液体を含んだ薄切りのパン」という意味です。

 簡単に作り方を説明するとアルケルメスというお酒をスポンジ生地にたっぷりと染み込ませ、それをカスタードクリームと交互に重ね合わせて作ります。


 実際はスープではないのですが、たっぷりの水分がしたたる位の状態なので名前の由来を聞けばなるほどといった感じです。


 歴史的にルーツを辿っていくと16世紀半ばのフィレンツェにたどり着きます。もともとメディチ家が開催した豪華なディナーで作られていたもので、それが特に英国人の客人に気に入られたことから「英国人のズッパ」という名前になったそうです。




その他、イタリアの各地でも作られていまして、ピエモンテ風やエミリア・ロマーニャ風、ナポリ風などがあります。ピエモンテ風はティラミスの材料として有名なサヴォイアルディを用いたりもします。エミリア・ロマーニャ風はカスタード意外にチョコレートクリームを使います。ナポリではリコッタチーズとフルーツの砂糖漬けを使用します。

 風味もヴァリエーションが多数存在していまして、コーヒーやアーモンド、オレンジ風味やチェリー風味などなど。仕上げのデコレーションも生クリームを絞り出したり、メレンゲを絞ってバーナーで焦げ目をつけたり。お店ごとにたくさんのスタイルがあるので食べ歩くのも楽しいですね。

 
ただ、たくさんのヴァリエーションがありますが、アルケルメス酒とカスタードクリーム、パン・ディ・スパーニャ(スポンジ生地)は必ず使われます。このデザートの定義です。



 ↑ こちらはトスカーナで出てきたズッパ・イングレーゼ。チョコレート風味です。




 ↑ アルケルメス酒

 真っ赤なリキュール、アルケルメス酒もなかなか日本人には馴染みがないと思います。フィレンツェの聖マリア・ノヴェッラ教会の修道士が各種のスパイスや薬草をベースに考案したもの。独特の赤色はエンジムシから抽出した着色料を使っている為です。ムシと聞いてびっくりしますが、ご安心ください。日本には検疫の関係で輸入できません。ですのでアルケルメス酒として現在日本に入ってきているものは代用品になりますので、ムシからのものではないのでご安心を。


 

 モンティッキエッロにあるオステリア、LA PORTA(ラ・ポルタ)に行ってきました。



 地元の人にも人気のようで、たくさんの人で賑わっていました。



 まずは前菜。ハム・サラミ類とパテ、チーズの盛り合わせ。トスカーナは前菜にハム・サラミ類の登場頻度高し。ハム類は日本で食べるものと違って乾燥してないというかしっとりしていて、なにより香り高くておいしーっ!

 続いてプリモはピンチのトマトソース。正確には Pinci all'aglione (ピンチ・アッラッリオーネ)。アッリオーネとはニンニクたっぷりを意味します。その名の通りニンニクが効いているトマトソースで和えられています。



 ピーチは特にシエナ地方の郷土パスタで、うどんのようなモチモチ感が魅力のパスタ。モンタルチーノ付近ではピンチ、モンテプルチャーノではピッチと呼びます。

 卵が入らず素朴な味わい。ピーチは日本でも人気が出てほしいパスタのひとつです。

 セコンドは食べずにドルチェ。



 パンナコッタの森のフルーツ添え。バニラの香りがとても効いてて、ソースとの相性も抜群。特筆ものはその固さ!プルンプルンで日本人好み。イタリアでは珍しい位の柔らかさです。いままでイタリアで食べたパンナコッタの中で一番好みに合いました。


 食後は一人で街を散歩。オステリアやバール以外には人影はなく、みなさんお昼寝中?





 一人だったので店内の端っこの席だったけど、何人かで行ってテラス席に座って食事できたら最高です。

 モンティッキエッロに行ったら是非おすすめです。

 
 こんにちは。今回はグランドメニューよりフレッシュトマトの自家製タリアッテレをご紹介いたします。
また、それに伴いトマトの豆知識もお送りいたします。

さてまずはトマトの話から。

 トマトにはカロテノイドの一つであるリコピンが豊富に含まれています。近年の研究で抗酸化作用がとても強く、その作用は「ベータ・カロテン」の2倍以上、ビタミンEの100倍以上にもなるということで、とても注目がたかまりました。

 またリコピンには様々な生活習慣病の原因となる活性酸素を消去する働きがあったり、美白や美肌効果、豊富なビタミンやミネラルをバランスよく含んでいます。また水溶性の食物繊維「ペクチン」も豊富に含んでいますので、血糖値や血中コレステロール濃度の低下、発がん物質の除去などの働きまであります。

 僕もトマトの効用を知ってからというものの常にトマトを食べるようにしています。イタリアもみなさん御存知、大変よくトマトを食べていますが、世界ランキングで見てみますと第6位、ちなみに日本は24位!。以外に食べていなくてびっくりです。ちなみにベスト3は第1位がギリシャ、第2位がリビア、第3位がエジプトでした。(FAO国際連合食料農業機関調べ)

 
 意外な国がベスト3でした。イタリアも意外と低かったのですが理由があります。それは北イタリアではあまりトマトが食べられないんですね。北イタリアの郷土料理にはトマトベースの料理は極端に少ないです。南イタリアはトマト、トマト、トマトみたいな感じで、やはり摂取量は北の2倍以上!!。ですからがんの発生率は北の方が2倍以上だそうです。やはりトマトとオリーブオイルベースの南のほうが、ラードやバター、肉類ベースの北よりも健康的な結果がデータで出ています。

 さてここまできたらみなさんトマトをたっくさん食べたくなったんじゃないでしょうか?(笑)ですよねー。

 僕も召し上がっていただくからには健康になってもらいたいと考えていますのでとてもうれしく思います。



 これがグラーツィア人気ナンバー1のフレッシュトマトの自家製タリアッテレです。


 パスタの中では断トツの人気で、他のパスタから嫉妬の目でみられているかも・・・。シンプル・イズ・ベスト・・・。定番にはやはり敵わないのかも。

 自分で言うのもなんですが、むちゃくちや美味しいです。この料理のすごいところは今まで一度も残されたことがありません。何年も出し続けてですよ!これはちょっと自慢させてください(笑)。ホントです。

 シンプルなこの料理、実はとてもたくさんの秘密が隠されています。コツといいますか、やはりシンプルなものほど難しいです。


 材料に関して言えばやはりシンプルですから妥協は許されません。トマトは2種類使っていまして一つはイタリア産サンマルツァーノのハイブリッド品種のトマトホール缶。これは神戸のフードライナーという業者さんが輸入している「カンポグランデ」というものです。僕はこれよりも美味しいトマトホールはないと思っています。(もしあったら業者さん売り込みに来てください。)
 
 そのほかにもフードライナーさんの商品は美味しいものばかり。


 

 そしてもうひとつは生のトマトですがフルーツトマトタイプのチェリートマト。糖度9度以上で酸味もバランス良く含まれているものだけを使用します。そして最高の青森産にんにく、最高のエクストラヴァージンオイル、最高のパルミジャーノチーズ、最高の小麦粉と最高ずくし。食べていただけるとはっきり違いを感じ取っていただけると思います。(自家製タリアッテレのこだわりは以前御紹介したので見られていない方は前にさかのぼってご覧ください。)
 


またトマトは旨みのかたまりなのです。グルタミン酸とアスパラギン酸がとても豊富です。だから南イタリアでは料理のベースとなるわけですね。日本で言う醤油や味噌の役割を担っています。


 日本では西洋と比べてトマトは生食が多いそうです。西洋では生以外でも煮込みや炒めもの、スープなどかなりの割合でつかわれているので摂取量にひらきが出ます。もっともっとご家庭でもトマトを上手に調理していただいて、もっともっと健康になりましょう。

 

 今回はトスカーナ州シエナのドルチェ、パンフォルテを御紹介いたします。このパンフォルテはシエナの名物菓子でしてシエナの街のあちらこちらで売っています。シエナといえば中世の美しい街並みと競馬競技のパリオ、そしてこのパンフォルテが世界的に有名です。

 お菓子の説明の前にシエナについて簡単にご紹介いたします。
 ローマを建国したのは牝狼に育てられた双子の兄弟、ロムルスとレムスであったといわれていますが、その後兄のロムルスは弟のレムスを殺害したので、その息子のセニウスとアスキウスはローマを脱出し、北に逃れてシエナの街を建設したと伝えられています。




 
 街はイタリアで一番美しいと言われているカンポ広場を中心として3つの通りが丘の尾根を放射状に外に向かって伸びており、これらが街の基本的な骨格となっています。1995年に「シエナ歴史地区」として世界遺産に登録されています。



 あとは世界最古の歴史を持つモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行があります。なんと1472年創業!!です。それからとても美しいシエナ大聖堂があります。


 それから何と言っても世界的に有名なパリオ。17のコントラーダと呼ばれる地区に分かれて、年に2回裸馬にまたがって街中を競争します。僕は映像でしか見たことがありませんが、生で見てみたいですね〜。



 ↑ パリオの様子。ラテンの血が騒ぐ〜っ!ド迫力。




     PANFORTE

 このお菓子は直訳すると「強いパン」。13世紀のレシピをいまだに忠実に守り作られている、と言われている歴史ある伝統菓子です。フォルテとは音楽用語のあのフォルテです。各種のフルーツの砂糖漬けやナッツ類を蜂蜜で練りこんで固めた円盤状の堅菓子です。



  ↑ 中に入れる材料が日本では高級品なのでお値段は高くなりますが、その分味わいもリッチです。ご予約いただければお作りいたします。お気軽にお問い合わせください。

 イタリアの郷土菓子はどれもこれもホッとする味わいで、作り手の優しさが伝わってきますね。マンマの優しさを感じます。あとやはりエスプレッソコーヒーは絶対に必需品です。コーヒーと一緒にいただくことによってはじめて完成される様な所があると思います。逆にエスプレッソがなければ魅力も半減。料理もワインと一緒に味わって初めて完成する様に・・・。



 ↑ パンフォルテはすべてこの様な中世を彷彿させる綺麗なパッケージに包まれています。

 
 シエナに行かれた際には是非パンフォルテをお試しください。おすすめのバールをご紹介いたします。

  NANNINI   Via banchi di Sopra,24
            0577−236009

 老舗カフェのナンニーニ。あのFー1パイロット、アレッサンドロ・ナンニーニのお店。彼はナンニーニグループの御曹司なんですね。
 パンフォルテ以外の郷土菓子(リッチャレッリ、カヴァッルッチ等)も充実しています。



 ↑ おみやげでおすすめなのがSpecialita’di siena  (パンフォルテ、リッチャレッリ、カヴァッルッチ、ビスコッティの四種類詰め合わせセット)


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